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スリランカ最大都市コロンボ近郊にある国際空港。経済危機で拡張工事の作業が止まっていたが、日本の支援で再開することになった=2024年7月24日、石原孝撮影
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 経済危機の影響で他国からの借金の返済ができなくなる債務不履行(デフォルト)に陥ったスリランカに対し、日本政府が円借款の再開を決めた。周辺国で経済・軍事的な影響力を強めている中国も念頭に、日本は関係強化を図っている。

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 上川陽子外相は7月24日、円借款の再開を発表し、「インド洋の要衝に位置するスリランカの発展は、インド太平洋地域全体の安定と繁栄のためにも不可欠」と訴えた。

 日本の外務省関係者が「(スリランカとの関係は)中国とのせめぎ合い」と言うなか、上川氏は5月に現地を訪れてウィクラマシンハ大統領らと会談。債務再編や経済再建で協力していく姿勢を見せた。

 円借款再開の目玉事業は、最大都市コロンボ近郊のバンダラナイケ国際空港の拡張工事だ。当初の総事業費は約900億円。年間の旅客取扱数を1500万人規模に拡大することを目指す。

 工事はコロナ禍前から進んでいたが、深刻な外貨不足に陥ったスリランカ政府が2022年4月にデフォルトを発表。日本側は新規の貸し付けを停止し、工事も止まった。

 スリランカ空港公社幹部、アトゥラ・ガルケティヤ氏らは取材に対し、「経済危機後、日本は真っ先に支援の再開を申し出てくれた」と感謝する。

 現在の旅客ターミナルの想定利用者数は年600万人だが、今年の利用者は1千万人に届く見込みだといい、「混雑解消は我々の長年の課題だった」と語った。

 支援を主導する国際協力機構(JICA)スリランカ事務所の山田哲也所長も「空港の拡張は、観光業が主要な産業であるスリランカの経済にとって重要だ」と意義を語る。

 建設現場には現在、屋根のな…

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