宮田優一さん=2025年2月6日午後1時56分、群馬県沼田市秋塚町、星井麻紀撮影

 フルーツの産地、群馬県沼田市で「果物の燻製(くんせい)」を編み出した人がいる。ブドウ農家の宮田優一さん(76)。これまでに完成させたブドウと柿の燻製は、ワインやチーズと好相性で、海外での販売を目指して挑戦が続いている。

 宮田さんはブドウ作り三十余年。直売や宅配を中心に販売しており、中でも大粒で果汁たっぷりの藤稔(ふじみのり)が人気だ。ところが、藤稔は皮が割れやすく、実が房から外れやすいという弱点がある。「1粒でも2粒でも欠けると商品価値が落ちてしまう」。中学時代の同級生にそんな相談をすると、「燻製にしてみたら?」と提案された。

 早速、同級生の息子が持っていたスモーカーに、藤稔のほかシャインマスカット、サニールージュなど計5種類の人気品種を入れてみた。「藤稔がおいしい。別世界のうまさ。生で食べるより余計にうまくなる」。これは商品になるとひらめき、燻製時間や温度を研究。絶妙の味わいを作り出し、経営するそば屋の店先で販売してみた。4年前のことだ。

 ところが全く売れない。「価…

共有
Exit mobile version