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 経済の好循環に向けて注目される中小企業の賃上げ。経営体力が弱いだけに、今後も続けることはできるのか。九州商工会議所連合会会長を務める谷川浩道・福岡商工会議所会頭(西日本フィナンシャルホールディングス会長)に現状と課題を聞いた。

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谷川浩道・福岡商工会議所会頭=2025年6月6日、福岡市博多区、江口悟撮影

 ――賃上げをめぐる中小企業の現状を、どうとらえていますか。

 中小企業は労働組合がないところが大半で、多くは賃上げもこれから。それでも昨年よりも賃上げする企業が増える雰囲気は感じている。

人手不足に対応、6割は「防衛的な賃上げ」

 ただ、主な要因は深刻な人手不足への対応で、「防衛的な賃上げ」と言うべきものだ。福商の昨年の調査では、75%の企業が賃上げしたが、その61%が業務の改善が見られない中での防衛的な賃上げだった。エネルギーや原材料価格の高止まりもあり、業績回復は力強さを欠く。持続可能性という観点では厳しい。いずれ限界が来てしまう。

 ――持続可能にするには何が必要ですか。

 まず、日本経済の構造的な変…

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