国立5大学の包括連携協定の締結式に参加した(左から)羽渕友則・秋田大医学部長、西山成・香川大医学部長、谷沢幸生・山口大学長、田辺剛・山口大医学部長、西川祐司・旭川医大学長、永島英樹・鳥取大医学部長=東京都内

 山口大学、秋田大学、香川大学、旭川医科大学、鳥取大学の国立5大学は1日、医療研究ネットワーク「Alliance 5(アライアンスファイブ)」を結成した。各大学の医学研究を効率的に進めるため、患者の臨床データや解析技術を共有し、超高齢社会に伴う加齢研究や希少疾患の研究を進めていく。

 高齢化社会の日本の中でも、地方は超高齢化を迎えている。この医療研究ネットワークは、超高齢社会に最適な医療を提供するための研究を進めていく。主に、がん、免疫疾患、血管病変、神経・精神疾患の四つの分野を対象に、各大学が研究に取り組んでいく。

 高齢者は複数の病気を抱えていることが多い。大学病院や高度医療を提供している病院がいくつもある都市部では、1人の患者が病気ごとに別の病院に通院しているのが実態だ。一方、地方では一つの大学病院だけで1人の患者のあらゆる病気に対応していることも多い。ネットワークでは、こうした地方大学ならではの強みを生かしていく。

 今回の5大学は北海道、東北、中四国と地域もばらつきがあるため、多彩な気候条件や生活習慣の違いによる病気の特徴を研究することもできる。まずは、3年かけて患者データと検体を集め、山口大が得意とする人工知能(AI)を使った解析を進めていく。その後、新しい薬や検査法の開発に挑戦する。

 今回は元々共同研究の実績がある5大学から始めるが、今後は参加する大学を増やしていくという。

 日本は、研究力の低下も課題となっている。大学病院も物価や人件費の高騰で赤字となり、研究よりも「診療」が中心となりつつある。

 山口大の谷沢幸生学長は「大学には医療機器もあり、仲間もいて、新しいことに挑戦できる環境がある。各大学が連携することで、それぞれの研究の強みを何倍にも大きくして世の中に還元していきたい」と話した。

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