昨年9月の能登半島豪雨で石川県輪島市では、市街地を流れる河原田川があふれ、周辺の住宅約350棟が浸水被害に遭った。それから半年。地震と豪雨の二重被災で人口がさらに減るなか、いまだに見えないまちの将来に、住民の不安が膨らんでいる。

 3月中旬、市中心部の河井町地区。建物が解体され空き地だらけになった住宅街に、浸水の深さを示す泥水の跡がついた家々が残っていた。

 金物店を営む室栄司さん(57)は、昨年1月の地震で木造2階建ての店舗兼住宅が全壊。修理して、倉庫だった2階の部屋を片付け、暮らしていたが、豪雨で1階の店舗が床上約1・6メートルまで泥水につかった。

泥水が達した高さを指し示す室栄司さん=2025年3月12日、石川県輪島市河井町、千種辰弥撮影

 近くにプレハブの仮店舗を建てて7月から店を再開し、商売が軌道に戻りかけていた時期だったが、工具などの商品のほか、地震で壊れなかったパソコンやファクスもすべてだめに。被害額は5千万~6千万円にのぼった。「またマイナスからのスタートか」と途方に暮れた。

 水が引いた後は泥が50セン…

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