石川県の地震対応をめぐる検証委員の指摘後、県庁危機管理部のロッカーに転倒防止の金具が取り付けられるなど対策がされた=2025年5月28日、県庁、土井良典撮影

 昨年元日の能登半島地震の発災時、石川県庁の危機管理部内でロッカーやテレビなどが固定されていなかったことがわかった。県の地震対応を検証する委員会で今年3月、委員の一人が「県職員が災害対応に本気でないことの象徴」と述べて指摘。県は即座に同部内のロッカーを金具などで固定し、棚の上の物品なども下ろしたという。

 県は、地震時の被害軽減のために「自助」の必要性を訴え、具体的な手立てとして家具が転倒しないよう固定を呼びかけている。ただ、足元の対策が不十分だと指摘された格好だ。

 能登地震を受け、県は有識者を集めて対応の検証を開始。委員の議論は毎回非公開だが、28日の第4回で前回(3月21日)の議事概要が示された。資料によると、委員から「今回の災害で問題であったことは、県庁職員の誰もが災害対応に本気でなく、自助が全く進んでいなかったことではないか。危機管理のフロアで防災対策の一丁目一番地である家具の転倒防止が行われていない」との意見があった。

 県危機対策課によると、家具の未固定は事実だったという。指摘を受け、同課を含む危機管理部内の少なくとも15のロッカーを専用の器具で固定。テレビにも同様に対策をとった。ロッカーや棚の上にあった物も、落下すると危険だと判断し、片付けたという。

 昨年元日の地震では、家具が転倒する被害はなかったというが、職員の一人は「『家具を固定しよう』と言っている張本人が、なんも対策がなっとらんがいねというのでは、示しがつかない」と話す。家具固定には費用もかかるため、まずは危機管理部からはじめ、今後県庁全体に広めていきたいという。

 危機管理部幹部は「しっかり防災の対応をしていたつもりだが、備えが足りない部分はあった」と述べた。

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