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 大阪の繁華街・ミナミを舞台に、地面師とみられるグループに不動産の買い手側が計14億円超をだまし取られたとされる事件で、容疑者グループが不動産の所有者の債権者を装って所有者の住民票(写し)を役所で不正に取得し、その情報を基に新しい所有者になりすます手続きを進めていた疑いがあることが、捜査関係者らへの取材でわかった。

 住民票の写しは住民基本台帳法に基づき、訴訟や相続の手続きのほか、債権の回収・保全など正当な理由や目的があれば、借用書など金銭貸借の契約を示す書類や、本人確認書類を提出したうえで、第三者による取得が認められている。この住民票を基に不動産所有者の偽造免許証が作られるなどし、代表を務める会社の登記が変更されていたという。

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繁華街・ミナミ。グリコ看板の付近では観光客らが行き交う=2024年11月1日、大阪市中央区、西晃奈撮影

 大阪府警は、詐欺や電磁的公正証書原本不実記録・同供用容疑などで逮捕した会社役員の福田裕(ひろし)容疑者(52)=大阪府東大阪市=と、詐欺以外の同じ内容の容疑で逮捕するなどした粂(くめ)陵平容疑者(24)=住居・職業不詳=と60~70代の女2人の計4人が、役割分担をして不正な取引の準備を進めていたとみて全容解明を進めている。

 これまでの事件関係者らへの取材から、事件に至るグループの動きが明らかになってきた。

 事件の舞台になったのは、地価の高騰が続く大阪・ミナミのビル3棟と各土地。いずれも70代女性が代表を務める同族経営の不動産会社(大阪市中央区)が所有しているが、福田容疑者は粂容疑者と共謀し昨年2~3月、後継の代表者になりすまして別の不動産会社2社と売買契約を結び、計約14億5千万円を詐取した疑いが持たれている。

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売買の対象になった建物=2025年6月5日午後2時18分、大阪市中央区宗右衛門町、岡田真実撮影

免許証の顔写真が70代女と酷似

 関係者によると、事件前、女性の居住地の役所が粂容疑者とみられる男に対し、女性の住民票の写しを交付した。府警が調べると、男は窓口で女性の債権者を装い、偽造された数十万円の借用書を示して手続きをしたことがわかったという。

自分が所有する不動産を地面師に狙われないために、どんな対策を取ったら良いでしょうか。専門家に聞きました。記事の後半で紹介します。

 その後の昨年1月下旬、同じ…

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