Smiley face
写真・図版
鈴村洋子さんの作品「現代絵巻」。幅30センチほどの障子紙に絵や言葉がびっしりと書かれている=2024年6月4日午前10時55分、東京都東村山市、関田航撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 命を全うして生きていこうね――。生きることへの思いをつづることばに、愛らしいお地蔵様が寄りそう。こんな絵巻がいま、国立ハンセン病資料館(東京都東村山市)に展示されている。埋もれていた数々をつなぎあわせた絵巻で長いものは18メートル。隔離された人々の喜怒哀楽が吐露されている。

 作者は、北海道出身で、国立療養所「多磨全生園」(同)で4年前に死去した鈴村洋子さん。

 毎朝、療養所の草花の手入れをすませ、夫の清さん(84)を碁会所に送り出すと、障子紙を広げ、不自由になった手にゴムで縛り付けた筆やペンを走らせた。もっぱら描くのは、にっこりほほえむお地蔵様。そこに日々の思いを言葉にした。

 〈病むものがいたわりあって生きる絆を大切にしようね〉

 隔離政策を定めた「らい予防法」廃止後の1997年、友人に頼まれたのがきっかけだが、いつしか自分のためになった。

 〈やさしい仏の顔をみつめて 自分の心をいやしていただく仏様〉〈書くのをやめられないのです〉

 幼いころからいじめられた。後遺症によって右足も失った。本当の名前も明かせなくなった。隔離された施設では、お骨になっても外には出られない――。ハンセン病にまつわる様々な苦しみを受け止めた鈴村さん。絵巻には自らを奮い立たせることばがあふれ、色使いも墨からカラフルに変わっていく。

 〈病なんかに負けず一日一日…

共有