埼玉県八潮市の道路陥没事故は28日、発生3カ月を迎えた。転落したトラックの運転手の男性は安否がわかっておらず、救出に向けた工事が昼夜を問わず続けられている。工事はまもなく完了する見通しで、男性の救出活動が本格化する。
記者が4月下旬に現場周辺を訪れると、何台もの巨大なクレーン車が天に向かって伸び、音や振動が響いていた。大型車両が行き交う周辺道路は広い範囲で交通規制が敷かれ、迂回(うかい)を呼びかける警備員があちこちにいた。発生当初は直径5メートルほどだった穴は、数日で40メートルまで拡大し、3カ月間で大きく姿を変えた。
当初は消防による救助活動が行われたが、発生当日の1月28日、穴に入った隊員2人が土砂の崩落で負傷。県は重機を内部に入れるためのスロープ(傾斜路)を整備して救出を試みたが、断続的に水の流入や土砂の崩落が続き、救助活動は難航した。下水の流量を減らそうと、流域12市町の約120万人に下水の排出抑制も呼びかけたが、大きな効果は得られなかった。
救助に向けた方針が大きく変わったのは、事故発生から2週間後の2月11日。大野元裕知事は、下水道管内に取り残されたトラックの運転席に、人とみられる姿が確認されたと明らかにした。こうした状況を受け、下水道管内に流れる下水を迂回させる仮排水管を造るバイパス工事を行うと表明。並行して、運転席の真上と下水道管の上流側から掘削する工事も行うとし、「3カ月以内に工事を完了させる」とした。
■下水バイパス工事は完了…