浦和、川越、松山の埼玉県立高校3校の2022~24年度の新入生向け校歌指導で、怒鳴りつけるなどの「配慮に欠ける指導」があったとして、県教育委員会の日吉亨教育長は5月21日の記者会見で、「教員が介入するべきだった」と述べた。県教委は「改善すべき点」も指摘したが、問題が見過ごされてきたのはなぜなのか。
- 「配慮に欠ける」校歌指導3校 不登校など可能性1件 埼玉県立高校
全137校の県立学校を対象とした県教委の調査によると、2022~24年度の3年間で、浦和、川越、松山の3高校で「上級生が下級生の近くにより大声で怒鳴りつける」ことがあった。さらに浦和高では「個別に指名して1人で歌わせる」「竹刀で床をたたく」という行為も確認された。県教委は、これらを「配慮に欠ける指導」と認定した。
この3校では、生徒や保護者から指導方法について改善を求める意見も届いていた。「上級生が下級生に顔を近づけて怒鳴りつけるのは、高圧的な指導ではないか」「時代の流れとともに変えていくべきではないか」などの意見だった。
浦和高の「竹刀で床をたたく」は、日吉教育長が同校の校長だった22年度にあった。日吉教育長は「着任直後だったため、見ていなかった」と釈明。ただ、それ以前も含め、複数の教員が立ち合っていたが、竹刀の使用や暴言を止めていなかったと説明した。その理由については明言せず、「伝統として行われてきた活動が、今の時代に合わなくなっていることについて、教員としての配慮に欠けていた」と答えた。
「生徒自治」の校風があっても
そのうえで、日吉教育長は…