叡明―津田学園 六回表叡明2死二塁、細沼の打球を好捕する遊撃手石井=伊藤進之介撮影

 (7日、第107回全国高校野球選手権大会1回戦 津田学園5―4叡明=延長十二回タイブレーク)

 マウンド後方で、痛烈な打球が高々とはね上がる。津田学園の延長十一回の守り。1点を勝ち越され、なおも2死二、三塁のピンチだった。二塁手の伊藤璃空(りく)は「(大きく)はねたので取れる」。素早く落下点に入って捕球し、一塁でアウトにしとめた。

 津田学園は四回までに3点を奪ったが、五回に追いつかれた。じりじりした展開で、エース桑山晄太朗をもり立てたのが手堅い守りだった。

 六回2死二塁のピンチは中前に抜けそうな当たりを、2年生遊撃手の石井斗弥(とうや)が「アウトにできなくても前で止められれば」と、横っ跳びでつかんでアウトに。八回1死は途中出場の井上恭瑛(たかてる)が鋭い三ゴロをアウトにした。タイブレークに入った延長では十回、十二回と併殺を完成させ、サヨナラ勝ちにつなげた。

 内野陣のリーダー格、伊藤は言う。「取れるアウトを確実に取って、桑山をどれだけ楽に投げさせられるか」

 その左腕を軸に守り勝つチームを支えているのが内野陣の特守だ。全体練習が始まる朝6時よりもさらに前。いてつく冬の日も、日が差せば打球を受ける。2018年夏の後から始まった伝統の自主練習だった。

 これで、全国選手権は3大会いずれも初戦を突破した。無失策に、伊藤は「特守のおかげで自信を持ってプレーできた」。誇らしげな選手らを前に、毎朝ノックバットを振ってきた池増大樹部長は、うれしそうにマメだらけの両手を見つめていた。

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