国の介護報酬改定で訪問介護の基本報酬が引き下げられたことで、千葉県内の中小規模の訪問介護事業所が苦境に立たされている。改定後、県内では事業所の倒産や廃止が増加。「実態を把握し、報酬改定の見直しを」「必要な人に介護サービスが届かなくなる」。過疎地域も多い県内では、切実な声が上がっている。
高齢化率が50・51%(今月1日現在)の鋸南町。町内の介護事業所「ケアセンターさざなみ」では、自宅で生活する高齢者の家をホームヘルパーが車で一軒一軒回り、入浴や排せつの介助、掃除や買い物など家事の支援をしている。
同社の近江祐樹代表取締役は「車で片道20分かけて通う場所もあり、報酬が発生しない移動にかなり時間をとられる。確実に車がなければならない地域で、ガソリン代やリース代も高くつく」と明かす。それでも「社会資源が少ない過疎地域の訪問介護は自宅で暮らすためのインフラ」として持続可能な事業の在り方を模索している。
ただでさえ厳しい状況の訪問介護事業に、さらに追い打ちをかけているのが、2024年度からの介護報酬改定だ。
廃止は前年度比約2割増、収入減や負担増も
介護職員の人材流出防止など…