医療機関で発行された診療明細書(画像の一部を加工しています)。検査や手術といった項目と内容、費用(診療報酬の点数)が書かれている

 7月の参院選では、複数の政党が「社会保険料の負担軽減」を訴え、選挙活動を展開しました。国民が物価高に苦しむ中、保険料負担への関心が高まっています。しかし、医療保険は、年金や介護と同じく、保険料を主要な財源として成り立ち、単に「保険料を下げておしまい」というわけにはいきません。これからの国民皆保険制度のあり方をどのように考えるのか、現状と課題を整理します。

 投開票日直前の7月18日。大企業などの健康保険組合でつくる健康保険組合連合会(健保連)の総会が開かれ、宮永俊一会長がこう訴えた。

 「賃上げや(社会保険に加入する人の範囲を広げる)適用拡大の効果で保険料収入は増えているが、高齢者医療への拠出金の負担増に追いつかない。健保組合の財政は依然として厳しい」

 所得に対する税と社会保障の合計の割合を示す国民負担率は、2025年度で46.2%。20年前から10ポイントも上昇した。うち社会保障の伸びは4.2ポイントだ。

 保険料負担が増える要因のひとつが、高齢化などを背景とした医療費の膨張だ。22年度で約47兆円にのぼる。

【わかりやすい図解はこちら】あなたのお金はどこへ

給料からは所得税や住民税、社会保険料が天引きされ、買い物をすれば消費税も取られます。これらの負担が重くなっている原因は、140兆円近くになる社会保障費です。私たちの懐から出ていくお金はどこに行き、どう使われるのでしょうか。グラフやチャートで分かりやすく図解します。

 日本で受けられる一般的な医…

共有
Exit mobile version