小野卓也さんのボードゲーム棚。愛情が凝縮している

 家の中が趣味のものであふれている。仕事柄もあって、本やCDは山のように積み上がる。とくに悩ましいのがボードゲーム。箱の大きさがまちまちなうえ、とにかくかさばる。趣味にハマるほど、ものが増えるのは記者だけではないはず。国内屈指のボードゲーム愛好家の僧侶、小野卓也さんに、趣味の煩悩とうまくつきあう方策を聞いた。

 ――1995年発売のドイツゲーム「カタン」のヒット以降、運と戦略性がほどよく交じったボードゲームが世界中で遊ばれています。毎年、数百種もの新作が発売され、日本でも全国各地に「プレイスペース」ができています。小野さんは90年代から楽しまれているそうですね。

 大学4年のころ、同級生や後輩と遊んでいました。はじめは勝ち負けよりも、仲間と一緒に楽しい時間を過ごすことに主眼があって。お酒に強くないので、飲まずに長い時間を過ごすとき、ボードゲームって、いいコミュニケーションツールなんです。新しいゲームを遊んでは買っているうちに、少しずつゲームも仲間も増えていきました。

抑えられない知的好奇心

 ――将棋や麻雀(マージャン)など、一つのゲームをずっと楽しむ人がいます。一方、ボードゲームは次から次へと新しいゲームを買いたくなってしまう。なぜなのでしょうか。

 知的好奇心でしょうね。大学のサークルがオーケストラだったのですが、クラシックマニアにも通じる気がします。気に入った作曲家をデビュー作から追ったり、同じ曲を別の指揮者で聴いたり。ゲームが増えていくにつれて、どんな新しいメカニクス(仕組み)を使っているのかとか、この作品のゲームデザイナーの個性はなんだろうかとか、研究したくなるんです。

 ――ボードゲームが増えて困ったことはありますか。

 保管場所と家族の不興ですね。とにかくかさばるので、最初は本棚の上に置いていたんですけど、だんだん場所がなくなり、押し入れなどの生活スペースへと侵食していく。増えていく時期と結婚が重なっていまして、妻は興味がないものだから、なんでこんなにゲームが場所を取っているんだ、と。新居にゲーム仲間がやたらと来ていたのも不興を買いました。で、買うなら減らせ、減らしてから買え、と言われるわけです。

放っておくと増える一方の趣味のもの。記事の後半では、小野さんが「境界線」をつくることの大切さについて語ります。

 ――私も全く同じ経過をたど…

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