免税対象の商品があることを伝えるのぼり旗=東京・浅草

 訪日外国人向けの消費税の免税制度を廃止すべきだ、との意見が与野党から出ている。自民党内の勉強会が12日、廃止を求める提言書を党幹部に出す。物価高が消費に水を差すなか、税収増や、出国前に転売して利益を得るなどの不正を防げるとの期待がある。

 免税制度は1989年、消費税が税率3%で導入された当初から始まった。旅行客(入国後6カ月未満の非居住者)は、免税店(輸出物品販売場)で本人確認などの手続きをすれば、日本国内で転売しないことを条件に免税品を購入できる。当時283万人だった年間訪日客数は、2023年は2506万人と約9倍に増加し、免税店での買い物で免除された消費税は約1600億円にのぼった。

 24年は訪日客による国内消費は8兆円台になり、免税額は2千億円超と推計されている。免税店は土産物店や家電量販店、ドラッグストアなど6万1392店(24年9月末現在)ある。

 こうした中、自民党の麻生太郎・最高顧問は5月、制度見直しの勉強会を立ち上げた。麻生氏は「(免税を)やめれば2千億円入ってくるわけですから、検討するに値するんじゃないか」などとあいさつ。勉強会は12日、「外国人の『爆買い』は、我々が目指す観光立国の姿とは異なる」などとして、免税措置の廃止を求める提言を党税制調査会長らに出す予定だ。

 廃止論の背景には制度の悪用もある。免税品は「通常生活の用に供する物品」とされ、「消耗品は1人1日同一店舗で50万円」といった購入上限がある。

あと絶たぬ「悪用」 対策に新制度も

 だが、財務省によると、免税…

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