芸能界では、所属事務所とタレントの関係が世間をにぎわせてきた。近年、大きな注目を浴びたのが、二つの事案だ。
NHKの連続テレビ小説「あまちゃん」(2013年)に主演した能年玲奈さんが、事務所との関係が悪化し、16年に芸名を本名から「のん」に改名して独立。国民的アイドルだったSMAPは、解散後の17年に元メンバー3人がジャニーズ事務所(当時)を離れた。いずれもテレビ番組の出演は激減した。
一連の出来事を受けて、公取委は芸能界の契約問題に大きな関心を抱いたとみられる。18年には、公取委の有識者会議が個人で直接仕事を請け負う「フリーランス」の働き方について、芸能界も含めて企業側が個人の移籍を制限などすれば、独占禁止法違反にあたる場合があるとの見解を示し、19年には、元SMAPの3人のテレビ出演などをめぐり、ジャニーズ事務所に異例の「注意」を行った。
同時期には、芸人らが反社会的勢力の宴会に参加して金銭を受け取った「闇営業」問題をきっかけに、吉本興業が約6千人とされた所属タレントの大半と紙の契約書を交わさず、口頭で契約を結んでいたことが明らかになる。当時の公取委事務総長も定例会見で、「契約書面がないということは、問題がある」と指摘した。
「業界の慣習にメスが入った」
これらが耳目を集めたことで…