北海道に赴任し、高校野球の担当になったこの春。悩まされたのが暑さ対策だ。年平均気温が上昇する北海道。生まれ育った関東ほどではないが、夏は暑い。この環境で野球をする球児たちの健康をいかに守るか。医学部を卒業して記者になったという私自身の経歴もあり、気になった。
「暑さとたたかう」という連載タイトルで、各校の対策を取り上げることにした。練習時、運動会でよく見かける備品のテントを立てて日陰をつくる工夫は、予算がかからずどんな高校でも採り入れられそう。
練習でユニホームにこだわらず、メニューに応じてTシャツやハーフパンツを選んでいる学校もあった。身を守る大事な健康教育でもあると感じた。
話を聞くと、現場では暑さだけでなく、野球の伝統とのはざまで、時代や環境の変化に合わせた工夫が始まっていることが分かった。
救急医を取材したコメントと共に、正しい暑さ対策を紹介した。取材を通して、選手たちのひたむきな努力に触れた。だから、暑さに負けず本来の力を発揮してほしかった。
連載は、野球と、医療という自分の専攻を掛け合わせたからか、デジタル版で反響があった。
ユニホームの記事には識者から、主体性を持って判断するという習慣が「野球にもそれ以外にも必ず生きる」とコメントが寄せられた。
今後も北海道の気温は上がる予測だ。自分も学生時代は陸上競技に打ち込んでいた。高校野球に限らず、正しい暑さ対策が選手や指導者、保護者にも広がってほしい。