Smiley face
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昨年の米大統領選で集会に臨むトランプ氏。演説台の前に設置された防弾ガラスに支持者たちの姿が反射し、映り込んでいた=2024年11月2日、ノースカロライナ州ガストニア、藤原伸雄撮影
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デイビッド・ブルックス

 かつてアメリカ人は進歩という考えに熱狂していた。19世紀から20世紀にかけてフィラデルフィア、セントルイス、シカゴ、ニューヨークなどの都市で開催された万国博覧会に足を運べば、未来の驚異をたたえる壮大な祭典を目にしていただろう。(米フロリダ州の)ディズニーワールドに行けば、トゥモローランドや(技術の進化を体験できるアトラクションの)カルーセル・オブ・プログレスを訪れることもできただろう。

 しかし、次第に知識人、それからその他多くの人々が、成長やテクノロジー、イノベーションが未来を過去よりも良いものにしてくれるという考え方、すなわち「進歩」に信頼を置かなくなっていった。(米国のジャーナリストで研究者の)バージニア・ポストレルは「未来とその敵」という本を出版し、政治における真の対立軸は左派対右派ではなく、ダイナミスト(Dynamist)対ステーシスト(Stasist)であると主張した。ダイナミストは終わることのない変化を信奉する。ステーシストは守りの姿勢だ。未来にがむしゃらに突っ走る必要はない、自分たちのことを気にかけるべきだ、と彼らは言う。

 この対立が今、共和党を揺るがしている。イーロン・マスクと(実業家の)ビベック・ラマスワミはダイナミストである。彼らは、(米大リーグ)ニューヨーク・メッツが(ドミニカ共和国出身の外野手)フアン・ソトと7億ドル(約1100億円)以上の契約を結ぶのと同じ理由で、才能ある移民を米国経済に迎え入れたいと考えている。米国生まれの選手だけでチームをつくることもできるが、それでは世界のトップクラスと競うことはできない。

ダイナミストに批判も

 この考え方は、移民の制限を…

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