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何度も試作された押しボタン=2024年5月16日、和歌山市吹上1丁目の県立近代美術館、榊原織和撮影
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 和歌山の県立近代美術館が4月下旬、4カ月ぶりに改めて開館した。

 館内のエレベーターを新しく交換する工事のために休館していたが、交換されたはずのエレベーターは一見、新旧の違いがわからない。どんな工事だったのだろうか。

「近代は機械の時代」

 昨年8月のこと。試作された新しいエレベーターの押しボタンの電球について、学芸課長の井上芳子さんはこうこぼしていた。

 「色が違う……」

 もとの色と同じにならなくて悩んでいるということだった。記者は不思議に思った。美術展の企画を主な仕事とする学芸員がなぜ、工事のことで頭を抱えているのだろう。

 取材を進めるうちに、わかってきた。

 近代美術館は1994年に現在の場所に新築移転され、エレベーターもそのときに造られた。全体が日本を代表する建築家・故黒川紀章氏の設計だ。

 吹き抜けのロビーにガラス張りの塔のように造られたエレベーターには、黒川氏のこだわりがあった。

 「近代は機械の時代だった」…

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