寝苦しい夏の夜、キャンプなどで怖い話を披露し合った思い出をお持ちの方もいるのではないでしょうか。でも、なぜ怪談といえば夏なのか。日本の妖怪を研究する米カリフォルニア大デービス校のマイケル・ディラン・フォスター教授は、日本独自の事情があるとしつつ、日米の間に意外な共通点もあると語ります。

記事の後半では、米国でも広まった陰謀論について、フォスター教授が自らの考えを語っています。インタビューの動画もあります。

日本の妖怪や伝統行事を研究しているカリフォルニア大デービス校教授のマイケル・ディラン・フォスターさん=2025年7月30日、東京都新宿区、佐藤達弥撮影

 ――フォスターさんの著書「日本妖怪考」は海外で、日本の妖怪に触れた多くの文献で引用されています。なぜ日本に興味を持ったのですか。

 大学卒業後、英スコットランドでホタテ貝養殖のアルバイトをしたことがあります。そこで使っている機械や技術が、みんな日本のものでした。1950年代の朝鮮戦争のころ、父が赤十字の仕事で日本に滞在していたこともあって、日本に行ってみたいと思うようになりました。

川のほとりにあるカッパの像=2023年2月8日、福島県天栄村、笠井哲也撮影

 その後訪れた岩手県の遠野で、地元の言い伝えや怪談を収めた「遠野物語」(柳田国男著)に出合ったのがきっかけとなり、大学院で日本の民俗学を専攻。修士論文は妖怪のカッパについて書きました。

 ――怪談に出てくるお化けは夏に現れるというイメージがあります。どうしてなのでしょう。

キーワードは江戸時代

 江戸時代に怪談が夏と結びつくようになり、そこからお化けが夏に出るというイメージが広まったと考えられます。

 その一つの要因として、当時…

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