全国高校野球選手権大会で女子部員で初めて「ボールパーソン」を務める佐賀北の家永そらさん=2025年7月31日、阪神甲子園球場

 第107回全国高校野球選手権大会で9日の第3試合に登場する佐賀北は、家永そらさん(3年)が夏の甲子園では初めて女子部員で「ボールパーソン」を務める。第104回大会(2022年)からマネジャーを含む女子部員が試合中に球審にボールを手渡したり、ファウルボールを拾ったりするボールパーソンやノック時の補助役が可能になっていた。

 07年に全国制覇した佐賀北では3年生の男子部員1人がマネジャーに指名され、女子がマネジャーとして入部を希望しても断っていた。地区大会のアナウンスを各校で分担することになり、18年に女子マネジャーが入部。これまではサポート役だったが、選手数も減り、今のチームでは男子マネジャーを置かず、同じ3年の渡辺歩果さんとの女子2人を中心に部のマネジメントを担った。

 練習メニューを選手に伝え、簡単なノックをこなし、グラウンド整地車を動かした。家永さんは昨秋の九州大会でノックの補助も経験した。

 優勝した時のマネジャーで佐賀県立伊万里高の真崎貴史監督(36)は「うまく時代に合わせる形で役割をやっている。自分たちでやれる空気を作れるのが、伝統というか北高の強みでもある」とみている。

 甲子園入りしてからの2人は、毎日変わる練習会場に持参する道具を仕分けるなど、さらに激務になった。失敗の連続で、下山勝也部長(61)に反省会を申し出て、夜遅くまでミーティングを重ねた。

 家永さんは「いつも(宮崎)淳多(主将)がやっていることを少しでもカバーして、試合に集中してほしかった」と言う。

 家永さんは、ボールパーソンのコツをつかもうと、シート打撃の時にその役目を担い、「ボールを(審判に)渡すタイミングが難しく、集中力がいる」と感じた。

 新調した選手と同じユニホームで、ベンチを外れた2選手と計3人でボールパーソンに入り、3年生の16人全員がグラウンドレベルで一緒に戦える。「緊張より、楽しみ。みんなも私もノーエラーでいきたい」

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