奈良県明日香村の高松塚古墳とキトラ古墳(いずれも特別史跡、7世紀末~8世紀初め)に描かれた極彩色壁画(国宝)が、7月26日から村内で一般公開される。現存する東アジア最古の本格的な星図とされるキトラ古墳の天文図と、中国の代表的な星座にあたる高松塚古墳の星宿図(せいしゅくず)をガラス越しに見ることができる。
天文図と星宿図は、それぞれの古墳の埋葬施設にあたる石室の天井に描かれていた。発掘調査後に劣化の進行が判明し、壁画を古墳から取り出して村内の仮設修理施設で修理を進めてきた。
キトラ天文図は円形の星図で、350個以上の金箔(きんぱく)を朱線でつないで74個以上の中国式の星座を表現する。天文学者を交えたこれまでの研究では、古代中国王朝が都を置いた黄河中流域で観測された原図に基づいて描かれた可能性の高いことが明らかになっている。
高松塚の星宿図も星が金箔で表現され、朱線で結ばれて28個の星宿を構成する。
天文図は7月26日~8月24日、村内の「キトラ古墳壁画体験館 四神(しじん)の館」で、星宿図は7月26日~8月1日に村内の高松塚古墳壁画仮設修理施設で公開される。仮設修理施設では、星宿図のほか、西壁女子群像(飛鳥美人)と東壁の青竜、東壁男子群像も見ることができる。
「四神の館」では7月26日~8月3日、プラネタリウム「夏の星空と中国星座」も開く。上映時間は約15分。9時45分~16時15分に繰り返し上映する。
ともに見学無料。事前に申し込みが必要で、いずれも6月24日午前10時から29日までに文化庁のホームページ(https://www.bunka.go.jp/)内にある事務局のページから。往復はがき(当日消印有効)でも可。問い合わせはキトラ壁画事務局(070・1301・6315)、高松塚壁画事務局(070・1301・6280)へ。