外務省の安藤俊英・アフガニスタン担当特別代表は18日、東京都内で、訪日中のアフガニスタンを統治するイスラム主義勢力タリバンの暫定政権の幹部らと会談した。安藤氏はタリバン幹部らに対し、人権尊重や民主的な政治プロセスの推進を働きかけたという。
19日、北村俊博外務報道官が記者会見で明らかにした。アフガニスタンからの米軍撤退に伴いタリバンが実権を握った2021年8月以降、タリバン関係者の来日は初めて。日本国内に約1週間滞在するという。
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安藤氏とタリバン幹部らとの会談について、北村氏は会見で「人権の尊重や包摂的な政治プロセスの推進といった喫緊の課題への働きかけを行った」と説明。タリバンは女性の就労を厳しく制限し、中学生以上の女子教育も禁止している。日本政府としては人権の尊重を求めつつ、幅広い国民参加の下で民主的プロセスに向けて進むよう促したとみられる。
今回、タリバン幹部らを招いた日本財団は、アフガニスタンで女性や子どもらが厳しい環境下で生活を強いられていることを踏まえ、「将来の国家建設を見据えた広い視野を醸成し、弱者に対する国際社会からの人道支援を幅広く受け入れる必要性を認識してもらう」ことを目的としている。
アフガニスタンでは2021年9月にタリバンによる暫定政権が発足したが、日本政府もタリバンとの間での正式な外交関係はない。ただ、現地の日本大使館は活動しており、タリバン側とも「最低限の意思疎通はしている」(担当者)という。