なぜ、外国出身力士は強いのか。

 親方たちは異口同音にこう語る。「様々な困難を乗り越えているからだよ」

 最初にぶち当たるのが、言葉の壁だ。さらに、まさに「死活問題」として立ちはだかるのが、文化の違う食べ物。何人かの海外出身のお相撲さんに、和食になじむまでの涙ぐましい格闘の日々を振り返ってもらったことがある。

 ブルガリア出身の琴欧洲(鳴戸親方)は「お米がダメでしたねえ」。

 米は母国でも食べられてはいるのだが、「ブルガリアでの米は主食ではなく、砂糖をたっぷりまぶしたヨーグルトに入れて食べる『デザート』ですから」。

 新弟子の食事は「ちゃんこの残り汁と冷や飯」が、お約束。どうしても米を食べることができず、体を大きくするのに難儀したという。

 また、琴欧洲は日本とブルガリアでは「はい」と「いいえ」で首の振り方が逆だと知って、たまげたそうだ。「直すのに、ずいぶん苦労しましたね。『食べる?』と聞かれて、『はい』のつもりで横に首を振ったら、お皿を下げられてしまいますから」

 ほとんどの外国出身力士が苦…

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