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提訴について説明する原告代理人弁護士ら=2024年7月30日、札幌市中央区、上保晃平撮影

 札幌市立中学校でいじめを受けた女子生徒(17)が、学校側に適切な対応をしてもらえず、学習の機会が奪われたとして、市を相手取り、慰謝料500万円を求めて札幌地裁に提訴した。30日付。

 訴状などによると、女子生徒は中学1年生だった2020年7月6日、自身の容姿について同じクラスの男子生徒数人が「豚まん」などとやゆしていることを友人から聞いた。担任教諭に指導を求めたが、「仲良くできるように許してあげなさい」と言われたという。

 23日ごろには、別の男子生徒によって、女子生徒の小学校の卒業アルバムを加工した写真に「肉まんならいつでもあげます!」とコメントをつけた動画がLINEで拡散された。女子生徒の父親が学校側に全容解明と拡散防止を求めたが、十分に対応されなかったとする。

 女子生徒は、27日から23年3月の卒業時まで不登校が続いた。学習支援を求めたが、一部でオンライン授業が開始されたのは不登校状態になってから約8カ月後のことだった。学習に遅れが生じ、進学先が限られたという。

 原告側は、学校側が指針で定められている「いじめ対策委員会」を設置せず、いじめ防止や被害者保護のための組織的な対応を怠ったと主張。いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」の認定が遅れ、不登校中の学習支援も不十分だったと訴える。

 また、動画の拡散に対して、学校側がSNSの特殊性に配慮せず、調査を限定的にしか行わなかったとし、「動画がどこに拡散されたか把握できなくなった」と主張する。

 市教育委員会の山根直樹教育長は「訴状が届き次第、内容を確認して対応を検討する」とコメントした。(上保晃平)

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