【遊ばない子どもたち】
子どもが外で遊ぶ機会が減り、影響が出ているのは運動能力だけではない。発達心理学を専門とする内田伸子・お茶の水女子大学名誉教授は、「色々なことに挑戦する力が、育つべき時に育ちにくくなっている。日本社会はどうなっていくのでしょうか」と現状を心配している。
子どもは、外遊びをすることによって育まれる能力があるからだ。内田名誉教授は、3点指摘する。
視力、運動能力、言葉の力だ。
視力については、子どもが外で遊ぶ時間が長いと近視の発症率が低いというデータが先行研究(「子どもの目が危ない」大石寛人著/NHK出版新書)などであるという。文部科学省も啓発資料で「近視予防のために1日2時間は屋外で過ごすと良い」とうたう。内田名誉教授によると、米国の514人を12年間追跡した調査では「両親が近視であっても1日2時間以上、外遊びをする子どもは、外遊びをしない子どもに比べて、近視の発症率が3分の1以下に減った」という。
内田さんによると、外で遠くを見たり、手元を見比べたりすることによって、瞳の奥にある水晶体の厚さを変化させてピントを調整する「毛様体筋」という筋肉が育まれ、近視の抑制になる、という。
二つ目は運動能力。例えば、走ったり、木に登ったりして多様な動きができるようになると、子どもは自由に自分の体をコントロールできるようになる。すると、自分でもできる、と思えるようになり、自己肯定感も高まるという。
そして、三つ目は言葉の力。
子どもは五官を働かせて活動しており、何かにつけて、物事を不思議に思うことが多い。外で遊ぶ中で、すでに知っていることと、目の前にある情報を比較して、違いや共通性を見分けるようになっていく、という。
例えば、四季折々の自然に友…