4月、東京・六本木の俳優座劇場が約70年の歴史に幕を下ろした。戦後の新劇ブームをリードし、多くの名演を生んだ劇場の歩みからは街の変遷も浮かんでくる。
戦前は旧陸軍、戦後は進駐軍の施設が立つ「軍の街」だった六本木に、俳優座劇場が誕生したのは1954年のことだ。
「もっと田舎だった」六本木
「街がね、もっと田舎だったんですけどね。高い建物もなかった」と振り返るのは、俳優の仲代達矢さん(92)。劇場が開場する2年前、既に六本木にあった劇団俳優座の養成所に4期生として入所。開場翌年に晴れて劇団員となった。
劇場建設は劇団の10周年記…