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有機フッ素化合物(PFAS)の濃度が国の暫定目標値を上回ったため、井戸からの取水を止めている東京都国分寺市の東恋ケ窪浄水所

 「以前は23区の水がかび臭いと言われ、多摩の水はうまいという声が聞かれたものです」。東京都水道局多摩水道改革推進本部の谷本知之・前技術指導課長はそう振り返る。

 浄化技術が向上したいま、都内の飲み水の質はどこもあまり変わらないといわれる。では、多摩の水はうまいと言われた理由とは――。

■多摩の水物語

人々の喉をうるおし、緑をはぐくむ水。その豊かさの恩恵を受け、間近に自然を感じられるエリアが東京にはある。多摩における水事情の今昔をお伝えします。

 その差は、水道事業の成り立ちの違いにある。

 戦前からほぼ一括管理されてきた区部とは異なり、多摩ではもともと、各市町村が水道事業を担ってきた。主な水源は自治体がそれぞれの域内で取水した地下水だった。

■自慢の地下水、減ってはいる…

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