いまの時期では大きいサイズのアユも確認された=2025年4月8日、川崎市中原区、稲石俊章撮影

 多摩川でのアユの遡上(そじょう)が今春、急増している。東京都の調査で、8日までの約3週間に計5万8250匹が確認され、「これまでにないペース」という。

 都は3月中旬~5月末、多摩川河口から約11キロの地点(大田区と川崎市中原区をつなぐガス橋の上流約500メートル)に設けた定置網に入ったアユの数を毎日カウント。数えたアユの累計から、その年の遡上数を推計している。

 推計値は、調査が始まった1983年から2010年までは200万匹未満がほとんどで、11年以降は大幅に多い年が続く一方、200万匹を割る年もある。過去最多は12年の約1194万匹。今春はこれまでのところ、それを上回るペースという。サイズも大きく、8日の調査では13・5センチの個体もあった。遡上したアユが順調に成長すれば、今年はよい釣果も期待できるとしている。

 担当者によると、アユは必ずしも生まれた川に遡上するわけではないため、多摩川だけでなく、ほかの川で生まれたアユがやってきた可能性や、冬の東京湾でアユの生存に適する条件がそろっていた可能性などが考えられるが、好調の要因はわからないという。

 川崎河川漁業協同組合は、川崎市側の船着き場から都の担当者を定置網まで船で運ぶなどの協力をしている。理事の栗島亮一さん(68)は「アユが多摩川を選んでくれた結果。この数年は不調が続いていたので、非常にうれしい。川がきれいになり、アユが好む環境になっているのだと思う」と話す。

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