ニューラリンクのインプラントの助けを借り、自宅でスネークゲームをするアーボー氏=ニューヨーク・タイムズ

Despite Setback, Neuralink’s First Brain-Implant Patient Stays Upbeat

 わずか4カ月前、ノーランド・アーボー氏の頭蓋骨(ずがいこつ)から円状の骨が取り除かれ、髪の毛ほどの細いセンサーの触手が装着された。その上に25セント硬貨を積み重ねたくらいの大きさのコンピューターが置かれ、穴は塞がれた。

 首から下がまひしているアーボー氏は、イーロン・マスク氏が率いるニューラリンク社の装置の臨床試験に参加した最初の患者であり、彼の初期の進展は興奮をもって迎えられた。

 エンジニアたちと協力し、30歳のアーボー氏は、脳のニューロンの発火を、カーソルを上下左右に動かす動作に変換するコンピュータープログラムの訓練をした。彼のカーソル操作はすぐに俊敏になり、義父にマリオカートで挑戦したり、帝国を建設するビデオゲームを夜遅くまで遊べたりした。

 しかし、数週間経つと、装置の約85%の触手が彼の脳から抜け落ちてしまった。ニューラリンクのスタッフは、彼がカーソルを再び操作できるよう、システムを作り直さなければならなかった。彼はクリックするために新しい方法を学ばなければならなかったが、画面上でカーソルを滑らせることはできる。

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せっかくの装置に不具合が生じたアーボー氏。気になる現在の心境は……。NYTは、脳インプラントの難しさや他社の動向も調べていきます。

写真・図版
事故で首の第4椎骨から下がまひしたノーランド・アーボー氏。イーロン・マスク氏のニューラリンクの装置の人体臨床試験に参加する最初の患者となった=ニューヨーク・タイムズ

 ニューラリンクは彼に、触手…

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