パレスチナ自治区ガザに続いて、レバノンに戦火が広がる中、地域大国イランがイスラエルへの大規模な直接攻撃に踏み切った。レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラなどの後ろ盾となってきたイランの思惑は。イスラエルはどう出るのか。中東の危機が新たな局面を迎えている。
- 【速報中】ネタニヤフ氏「イランは過ち犯した」 ミサイル多数迎撃か
夜のエルサレムに響いた音と振動
エルサレムで1日夜、携帯電話から大音量の空襲警報が鳴り、イスラエル市民が一目散に建物の地下シェルターに駆け込んだ。花火が打ち上がるような「ドーン」という音が振動と共に伝わった。
米CNNが伝えたイスラエルの商都テルアビブの映像では、高層ビルの上空でミサイルとみられる多数の物体が防空兵器で撃墜される様子のほか、物体が地上に落ちて爆発音が響いたり、火災が起きたりしていた。米PBSテレビは、イスラエルの対外諜報(ちょうほう)機関モサドの本部近くにミサイルが着弾し、大きな穴ができたと伝えた。
米国防総省によると、今回使われたのは約200発の弾道ミサイル。イラン政府系メディアは、自国で開発したとされる極超音速ミサイルも発射したと伝えている。
イランのミサイルとみられる光の玉が夜空に次々と打ち上がり、イスラエルとみられる陸地に降り注ぐ。イラン国営プレスTVは2日、こんな映像を流し、「いかなる敵の行動もイランの圧倒的な報復につながる」とイスラエルを牽制(けんせい)する政府報道官の発言を伝えた。
相次いだイスラエルの攻撃
攻撃に踏み切ったイランの狙いはどこにあるのか。イランはイスラエルと直接の衝突を避け、「影の戦争」を続けてきた。だが、4月にシリアにあるイラン大使館が空爆を受け、イランは300以上のミサイルとドローン(無人機)をイスラエル南部の軍事基地などに向けて発射し、初めての直接攻撃に踏み切った。イスラエルは直後、イランの核関連施設を守るレーダーサイトに向けてミサイルを発射し、反撃したとされる。
イランでは7月末、首都テヘ…