東洋大姫路―壱岐 五回表東洋大姫路1死二塁、高畑に適時三塁打を打たれ、マウンドに集まる捕手岩本(中央右)ら壱岐の選手たち=上田博志撮影

(20日、第97回選抜高校野球大会1回戦 東洋大姫路7―2壱岐)

 一回表、東洋大姫路に連続ヒットを放たれた。2死を取ったがピンチは続く。主将の浦上脩吾投手(3年)の表情を見て、岩本篤弥捕手(同)はマウンドに向かった。「楽しんでいこう」と声をかけた。

 「強豪校と試合をしたい」というのは、2人の共通の願いだった。強いチームと戦うことでしか、自分たちの実力は判断できない。「力む理由はない」という思いを込めた言葉だった。

 気を取り直した浦上投手はピンチを切り抜けた。一回裏には山口廉斗選手(同)の適時打でリードを奪った。

 浦上投手は緩急をつけて、コントロール良く投げる。ボールを受けながら、「勝つ可能性もでてきた」と思った。

 五回、浦上投手は相手打線につかまり、5安打を浴びて5失点したが、岩本捕手は「浦上投手の持ち味は序盤で発揮できた」と振り返る。

 六回からは、岩本捕手と小学生時代からバッテリーを組む日高陵真選手(同)がリリーフとして登板。1安打に抑えた。「幼なじみと甲子園を味わえて最高。日高も力が通用した」と岩本捕手。

 冷静に試合を分析できるのは、夏を目標としているからだ。今回、東洋大姫路に集中打を浴び、自分のリードの未熟さを知った。

 相手打者の分析が足りないと思った。「インコースに弱いとか、あいまいな知識ではだめ。ボールの高低や苦手な変化球まで考えないと強豪には勝てない」。欲しかった教訓を得られた。

 「それぞれが通用しなかった部分を分析して、夏も甲子園に来たい」。次の夢ができた。

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