全国高校軟式野球選手権大会が70回を迎える今年、日本高校野球連盟は高校野球の聖地・阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で「全国高校軟式野球選手権大会70回記念 春の軟式交流試合 in 甲子園」を5日に開催する。東日本選抜チームに、群馬県内から県立高崎工業高校軟式野球部の樋口陽斗(はると)選手(3年)が唯一選ばれ、夢の舞台に臨む。
高崎工業高の軟式野球部は新1年生が加わり部員18人。樋口選手は主将を務める。
現在は春季関東地区高校軟式野球大会県予選の最中。4月26日の初戦で2点を追う五回裏1死一、二塁、7番打者の樋口選手はチーム初得点となる適時打を放った。流れを引き寄せ、仲間の適時打で逆転の3点目のホームを踏んだ。「みんなでチャンスをつないだ。逆転できてうれしい」。相手に先行されても変わらず仲間と声を掛け合い、チームの気持ちを一つにまとめ、5月9日の準決勝進出をつかんだ。
中学1年のとき、部活動で軟式野球を始めた。安打や好守備に仲間みんなが喜ぶ。そんなチームプレーの楽しさにはまった。
高校では、体の重心のかけ方を工夫して打撃のスイング速度を上げるなど、中村誠監督(41)から助言を受け、技術力の向上に取り組んできた。
昨秋は県内9チームが出場した秋季関東地区高校軟式野球大会県予選で準優勝し、関東地区大会に出場。1回戦で駒場東邦(東京1位)に0―17(7回コールド)で敗れたが、「関東のレベルの高いチームとの試合を経験して、もっと技術を高めたくなった」。
その後、甲子園での軟式交流試合のメンバー選出という思いがけない知らせを受け、驚いた。高校軟式野球の集大成となる夏の「全国高校軟式野球選手権大会」は「もう一つの甲子園」とも呼ばれ、明石トーカロ球場(兵庫県明石市)を主会場に開催されている。「甲子園はテレビで見てきた憧れの場所。まさか、その夢の舞台で野球ができるなんて思ってもいなかった」
交流試合は、東日本、西日本のブロックに分かれて対戦する。秋季大会での活躍などを参考に選手を25人ずつ選抜。樋口選手は背番号15、外野手として出場する。「バントや走塁を駆使して打者と走者がサポートし合いながらみんなで点を取りにいく。そんな軟式野球の魅力を見せられるように、悔いのないプレーをしたい」
軟式交流試合は阪神甲子園球場で5日午前11時試合開始。入場は関係者のみで、一般客は観戦できない。高校野球総合情報サイト「バーチャル高校野球」で試合のライブ配信と見逃し動画を視聴できる。