(21日、明治神宮野球大会・高校の部準々決勝 横浜2―0明徳義塾)
期待の1年生投手が、堂々の全国デビューを飾った。
横浜の背番号10、織田翔希。明徳義塾(高知)をわずか被安打2の126球で完封した。
- 頭が真っ白になった、あの決勝 横浜高の前主将が贈る言葉
身長185センチの大型右腕。最大の持ち味は、長い手足から繰り出す伸びのある直球だ。
描く理想は「リリースからバックネット裏まで同じ高さでいく感じ」。
この日は断続的に雨が降り、球足が速くなるグラウンド状態だった。
「強いゴロを打つ」と狙ったはずの相手打線に、高めの140キロ台前半の直球を打たせた。三回以外は二塁すら踏ませなかった。力で、試合巧者の策を上回った。
「こういう舞台で投げ切れてうれしい。自分の成長につながる」。試合前に村田浩明監督と誓った「完投勝利」の約束を果たした。
北九州市出身。中学軟式で140キロを記録し、全国大会にも出場した。親元を離れて横浜に進んだのは、1998年に甲子園春夏連覇を果たした松坂大輔さん(元プロ野球西武など)に憧れたから。「伝統ある学校で松坂さんみたいな選手になりたい」
春夏合わせて5度の甲子園優勝を誇る強豪には全国から有力選手が集まるが、1年春からベンチ入りして主力投手となった。
夏までの課題はスタミナ面だったが、克服しつつある。秋の関東大会では、選抜出場に向けた山場だった準々決勝の東農大二(群馬)戦で高校入学後の初完封を実現した。
松坂さんは97年の第28回明治神宮大会で歴代最多の1試合14三振を奪うなど、鮮烈な活躍で初優勝を遂げた。「松坂さん超え」をめざす原石は「次もここ(神宮)で投げられてうれしい」。まだまだ成長する。(大宮慎次朗)