今季、自己最多の11勝を挙げた東北楽天ゴールデンイーグルスの藤井聖(まさる)は信念の人だ。
やると決めたら、やすやすとは、くじけない。
東都大学リーグ屈指の強豪、東洋大出身。藤井の他に、同期5人がプロに進んだ「黄金世代」だった。
甲斐野央(ひろし)(ソフトバンクから西武)、上茶谷大河(DeNA)、梅津晃大(中日)、中川圭太(オリックス)、そして卒業後に大阪ガスを経由した末包昇大(広島)だ。
今季、大ブレークした藤井について、甲斐野は目を見張る。
「2桁勝つなんてすごいことじゃないですか。刺激をもらいますし、リスペクトしています。大学時代は(力を入れて)ゴリゴリ投げていた感じでしたが、プロに入ったら自分の形を作ってきた。器用ですし、変幻自在にできる」
梅津の藤井評はこうだ。
「すごく真面目なイメージ。自分より負けず嫌いだと思います」
藤井本人に大学時代のことを聞くと、仲間であり、ライバルでもあった同期に圧倒された日々だったという。
- 前楽天・高田孝一、野球人生かけたストレート勝負 「感謝しかない」
中学まで外野手だった左腕は、静岡・富士市立高時代から投手に転向した。甲子園出場もなく、無名の存在として東洋大に進んだ。
「僕以外はみんな、スポーツ推薦組。ボール拾いから入って打撃投手を延々とやって。レベルが違いすぎたけど、彼らと競争できたから、いまの僕があると思っている。彼らの存在がなかったら、ここまで頑張ってこられなかった」
同期で競い合う中で、大きな出来事があった。
大学2年生の時、甲斐野が1…