プロ野球のオープン戦が行われていた横浜スタジアムではグラウンドが開放され、多くの人がグラウンドに入った=2011年3月11日午後3時32分、横浜市中区

 球場や競技会場、アリーナでスポーツを観戦している時に巨大地震が起きたら、どう自分の身を守ればいいのか。昨夏には全国高校野球選手権が阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開催されている間に、南海トラフ地震への注意を呼びかける臨時情報が出た。災害大国の日本で巨大地震はいつ起きてもおかしくない。

 避難行動を研究している佐藤翔輔・東北大学災害科学国際研究所准教授(災害情報学)に、観客や施設側が地震発生時から避難までどう対応すればいいのかについて聞いた。

佐藤翔輔・東北大災害科学国際研究所准教授

 ――試合観戦時に「緊急地震速報」が出たら、観客はどうすればいいですか。

 「身を守る行動をとってください。大陸のプレートが沈み込んで起きる『海溝型地震』の場合は本格的な揺れまで若干の時間があります。イスやテーブルなどの下に身を隠したり、カバンなどで頭を守ったりして、揺れが収まるのを待つ。競技会場は屋内と屋外がありますが、怖いのは屋根がついている屋内の時です。天井などからの落下物に気をつける必要があります。屋外型のスタジアムでも何か落下する危険性があれば頭などを守ってください」

  • 避難目標は「甲子園駅の向こう」 甲子園で観戦中に大地震が起きたら
プロ野球オープン戦の横浜―ヤクルト戦の試合中に東日本大震災が発生し、関係者の誘導でグラウンドに避難する観客=2011年3月11日午後3時20分すぎ、横浜スタジアム、上山浩也撮影

 ――揺れが収まった後、会場が津波の浸水想定範囲内にある場合はどうすればいいですか。

 「事前に会場周辺での津波や高潮の高さがどれくらい想定されているのかをハザードマップなどから把握できていれば、高台に避難せずに会場にとどまることが安全かどうかの判断材料になります。会場の近くに住んでいなければ、こうした情報を把握するのはなかなか難しいですが、自宅や学校、職場にいたとしても同様に大切な情報になります」

 ――避難する場合に気をつけることは。

 「理想は、自治体が指定している指定避難所を知っておくことです。交通機関が止まって近くに自宅がない場合は無理して帰宅しない方がいいです。移動すると渋滞を引き起こすなどして、救命救助活動の妨げになることがありますし、体力も消耗します。落ち着くまでは指定避難所などで過ごす方法を考えたほうがいいですね。会場が帰宅困難者らを受け入れる一時滞在施設に指定されていれば、なおいいです」

 ――一方で、球団やクラブ、施設側はどのように対応すればいいでしょうか。

 「巨大地震が起きた後は観客…

共有
Exit mobile version