ミャンマー・ザガインで巡回診療をする河野朋子さん=2025年4月15日、ジャパンハート提供

 3月28日にミャンマー中部で発生し、3700人以上が死亡したとされる大地震から、もうすぐで2カ月を迎える。国際医療NGO「ジャパンハート」の災害救援チームを統括し、現地で被災者の治療に当たる河野朋子さん(49)は、屋外での避難生活が長期化することに懸念を示した。

 河野さんによると、ジャパンハートが活動の拠点としてきたザガイン管区の「ワッチェ慈善病院」は一部が崩壊。今は建物の外で診察をしながら、「巡回診療」を続けている。

 巡回診療では、被害が特に大きかったザガイン市街地へ、5人ほどで軽トラックに乗って向かう。野外でテントを張ったり、集会所を借りたりして、一日50人前後を診察している。

  • 【解説人語】ミャンマー大地震 特派員が見た被災地の現実は?

 当初は外傷の治療が多かったが、最近は「夜が眠れない」「精神的に疲れた」などの相談を受け、患者と話し込む時間も増えてきた。河野さんは「心のケアも大事になっている」と話す。国連児童基金(ユニセフ)によると、ミャンマー国内では約20万人が避難生活を余儀なくされているという。

 現地は、本格的な雨期のシーズンに入りつつある。倒壊した住宅前の路上や被災者が集まるキャンプで生活する人々の間では、感染症のリスクも高まる。河野さんは「衛生面を心配している。がれきに水たまりができ、蚊が増えると、デング熱にかかる危険性も増す」と指摘した。

 地震が発生してから、もうすぐで2カ月が経つ。病院や薬局が被災した影響が残り、高血圧や糖尿病などの持病の薬で、いまだに困っている人も多い。流通も厳しいままだ。「ミャンマーの人が、もとの生活に戻れるように、思いを少しでも寄せてほしい」と話した。

共有
Exit mobile version