走行中の大型トラックやバスからタイヤが外れる事故が後を絶たない。昨年度に起きた脱落は142件。国土交通省が集計を始めてから過去最多を更新し、死亡事故も起きた。大半は冬用タイヤに交換する11月~2月に集中しており、国土交通省はメンテナンスの徹底などを呼びかけている。
「車が大変」 年明け早々に響いた鈍い音
太平洋に面した北海道日高地方の新ひだか町。1月5日午前10時ごろ、国道沿いで小売店を営む60代の女性は入り口近くの窓際で掃除などをしていた。
「ドーン」
店の外で鈍い音が響いた。どこかで事故でもあったのかな。そう思っていると、近隣の住民が駆け込んできた。「車が大変なことになっているよ」
外に出ると、仕事用の軽乗用車の天井が大きくへこみ、窓ガラスが散乱していた。数十メートル先の反対車線には直径約1メートルの大きさのタイヤが一つ落ち、タイヤを締めるナットも散乱していた。「何が起きたかのみ込めずパニックだった」
北海道警などによると、国道を走るタンクローリーの左後ろについているタイヤ二つが脱落。一つが軽乗用車にぶつかり、もう一つは小売店から約80メートルの郵便局まで転がっていった。住宅の壁をこすったりしたが、けが人はいなかった。
女性の夫は、これまでもニュースでタイヤの脱落事故が増えていることは知っていたが、「まさか自分に降りかかってくるとは」と振り返る。年始めでたまたま客もいない時間帯だったが、「人に直撃したらと思うとゾッとする。運が良かっただけとしか言いようがない」と話した。
過去最多の脱落事故 95%が「左後輪」の訳は
大型トラックのタイヤは重さ…