文部科学省

 文部科学省が来年度、大学でのAI(人工知能)やデータサイエンス関連の履修を広げるために、モデル事業を始める方針を固めた。今後の成長分野とされながら人材不足が懸念されているため、理系分野だけでなく、文系とされる学生にも理系的素養を学ばせる教育への転換を促す狙いがある。来年度予算の概算要求に経費を盛り込む。

 事業案は、数理、データサイエンス、AIの関連科目の履修を各学部の卒業要件とする大学を選び、卒業時の学生の力や進路などの成果を検証するもの。他大学にも広げられるモデルとすることを目指し、5大学で計5億円を見込む。

 経済産業省が5月に発表した2040年の推計では、AI・ロボットなどの活用を担う人材が300万人以上、大学・大学院卒の理系人材が計100万人以上それぞれ不足すると指摘。一方、事務職の需要減少で、大卒の文系人材は約30万人が余剰となる可能性も示された。

 AIなど成長分野の人材を増やそうと、文科省は23年に3千億円の基金を創設。学部再編などによって理系教育の拡充を促しているが、十分な成果は出ていない。大都市圏の大規模大を中心に、設備投資や教員確保などの課題があるという。今後、文理横断型の学部再編などを新たに支援対象とする方針。基金の積み増しも目指す。

 自民党の教育・人材力強化調査会も22日、理工農系人材の増員や、文理分断からの脱却推進などが必要とする提言をまとめた。

 文科省は、来年度から理工農系の人材育成を重視して私学助成の配分を見直す方針も示している。

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