教授との人間関係、長時間の拘束、研究成果へのプレッシャー、将来の不安……。大学院生は、精神的な問題を抱えこみやすいことが複数の調査で報告されている。
2017年、ベルギーの3千人以上の大学院生を対象としたウェブ調査で、大学院生の精神疾患のリスクは、一般の人よりも約2倍高かったと報告された。18年にはテキサス大の研究者が25カ国、2200人以上の大学院生にSNSなどで調査をし、多くの学生が不安やうつを抱えていたと発表。ワーク・ライフ・バランスの問題や、指導教員との関係、研究費獲得のプレッシャーなど様々な要因があるとし、学生への支援の必要性を強調した。
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英科学誌ネイチャーでも、11年から大学院生に関する調査を定期的に行っている。22年の調査では、世界中の3253人が回答。回答者の約半数が、研究活動により不安や気分の落ち込みを感じていることがわかった。また、回答者の3割はすでに支援を受けたと答えているが、約2割は支援を求めているがまだ受けていないとした。
また、もう一度やり直せるとしたらどうするかという質問に対し、回答者の22%が指導教員を変えると答え、26%が所属機関を変えると答えている。
自由記述欄には「本当に休みがなく、指導教員から週末にも電話がかかってくる」「権力のある人はインパクトのある論文を書くことしか考えていない」「指導教員や研究室がすべて。テーマや分野は重要ではない」など悲痛な声が並んでいた。
大学生や院生などから実際に相談を受け、院生の休学・退学や自殺などの調査を行ってきたお茶の水女子大学保健管理センターの丸谷俊之教授は「臨床的にみても、大学院生はメンタルヘルスの問題を抱えやすいと感じる」と話す。
丸谷さんは、まず、勉強と研…