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 文化審議会が国の登録有形文化財(建造物)にするよう文部科学相に答申した徳島県つるぎ町貞光の「貞光劇場」。その内部を所有者の許可を得て取材した。建築から93年、閉館から14年が経過しても、芝居小屋や映画館としてにぎわった往時をしのばせる内装や展示が随所に残されていた。所有者は新たな活用の道も検討したいという。

写真・図版
アーチ形の入り口が美しい貞光劇場=2025年4月7日午後2時30分、徳島県つるぎ町貞光、福家司撮影

 貞光劇場は1932(昭和7)年に建てられた芝居小屋で、戦後は映画館として栄えた。映写技師も務めていた藤本一二三さん(故人)が所有し、91年には山田洋次監督を招いて「男はつらいよ」などを上映する映画祭を開催。それを機に同年、山田監督の「息子」が全国に先駆けて上映されたこともあった。だが、観客の減少などから2011年に閉館した。

 つるぎ町で和菓子の製造販売などを営む栗尾商店の栗尾善四郎会長(94)が藤本さんと同い年で縁があったことから、同商店が昨年、遺族から劇場を買い取った。今回、朝日新聞の取材に内部を公開した。

 ロビーには、かつて上映され…

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