滋賀県立大津商業高校の生徒たちが、小学生に「お金の大切さ」などを伝える金融授業の準備を進めている。子どもたちに教えるには、自分たちがまず「金融のプロ」に学ぶこと。そこから始めた。
「いきなりクイズをします。1万円札をつくるのにいくらかかるでしょうか」
講師役を務める関西みらい銀行の平田英梨子さんが生徒たちに問いかけた。5月27日にあった3年の「ファイナンシャルプランナー講座」の授業だ。40人の生徒が4人ずつのグループになって、机を向かい合わせて座っている。
午後1時25分に始まった5時間目。「お昼ごはんを食べて、眠たそうな顔の人もいますね。飽きさせない工夫も学んでください」
授業は週3回。各グループで「小学生にどんなことを学んでもらうか、どう伝えるのか」を相談し、小学生向けの授業のプランをつくる。人生のさまざまなイベントで夢をかなえるために、お金がいくら必要になるのかを考えるといったゲームを土台にする予定という。
その準備段階として、銀行の業務、金融トラブル、貯蓄や投資などについて学んだ。勝又美桜さん(17)は「自分が思っているほどお金の知識を持っていないことがわかった。もっと勉強して、小学生にとって未来の役に立つような授業を考えたい」と話した。
この講座では、ファイナンシャルプランナー3級の取得も目指している。小学生に授業をする取り組みは、知識を学んでインプットするだけではなく、学んだ知識をアウトプットすることで理解を深めることが狙いという。
生徒たちは10月に大津市立長等小学校の6年生に授業をする。地域貢献の意味もある。小学生への授業のあとは、高齢者向けの税金セミナーの開催も考えているという。
担当の池川裕貴子教諭は「自分でわかったつもりでも、小学生が理解できるように説明するのは難しい。知識や理解をしっかりと深めておくことが重要なポイント」と話す。
一方、関西みらい銀行は2023年に「金融リテラシー委員会」を設置し、金融教育に取り組んでいる。県内では23年度、草津市立老上中学校や立命館守山高校など5校で金融授業を実施した。(武部真明)