議員が議会中にスマホゲームをしていたと小学生の感想文で名指し――。この夏、ネット上で「ツムツム議員」なる言葉が生まれ、大きな批判が吹き荒れた。しかし、議員の辞職勧告決議案に賛成していた別の議員は、今回の問題を後に「騒動」と表現した上で、こう話した。
「冷静に振り返ってみると、もっと別な対応ができたのではないか」。識者は「マスコミの断片的な報道」が騒動を大きくしたと指摘する。マスコミの在り方も問われる今、あの「騒動」を振り返る。
地元紙に躍った「小学生は見た!」の見出し
宮城県南部に位置する人口約2万3千人の大河原町。議会中にスマホゲーム「ディズニー ツムツム」をしていたと、見学に来ていた小学生に、感想文で元町議(73)が指摘されたのは6月のこと。議長は元町議に口頭で厳重注意し、経緯を説明する全員協議会の開催が決まった。
だが、協議会より一足早く地元紙が「見学の小学生は見た!」との見出しで報道。翌日以降、本紙を含む全国紙やテレビが続き、瞬く間に元町議の名が全国に広がった。ワイドショーは「お手柄小学生」ともてはやし、元町議はSNS上で「ツムツム議員」と揶揄(やゆ)された。
一方、小学生の感想文には他の議員の居眠りや態度の悪さを指摘する記述もあったが、この点は大きく取り上げられなかった。
報道陣が詰めかけた全員協議会で、元町議は「ゲームをした事実は記憶にないが、複数の小学生が見たと言っているので、その事実があったと認める」と謝った。スマホの持ち込みもやめると宣言。だが、町議会は後日、辞職勧告決議案を可決。元町議も結局、辞職願を提出し、辞職した。
元町議が辞職したことに別の理由があることが明らかになったのは、その1週間後のことだ。
「当然の批判」と思った町議の家族が「ここまでされるのか」
7月、文字がびっしりと並ぶ…