岩手県大船渡市の大規模な山林火災で、市は9日午後5時、鎮圧を宣言した。各地の消防や自衛隊などの協力を得た懸命の消火活動の末、発生から12日目で延焼拡大の恐れがなくなったと判断した。2424人を対象に出ている避難指示は10日正午までに、全域で解除される見込み。焼失面積が市の面積の約9%にあたる約2900ヘクタールと広範囲におよぶことから、鎮火まで警戒と消火の確認を続ける。
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「鎮圧」とは、火勢が消防隊の制御下に入り、拡大のおそれがなくなったと現場の最高指揮者が認定したことを示し、「鎮火」は、現場の最高指揮者が再燃のおそれがないと認定したときのことを言う。
9日午後1時半ごろ、現場の最高責任者である大船渡消防署長が、市長や市消防団長とヘリで上空から状況を確認。延焼拡大の危険がなくなり、火の勢いが消防隊の制御下に入ったとして、鎮圧状態と判断したという。
避難指示が継続しているのは、三陸町綾里(りょうり)の全域、赤崎町の合足(あったり)、長崎、外口。避難所は縮小や移設の可能性もあるが、住宅が被害を受けた被災者らのために継続して開設される予定。
被災者支援に注力
建物への被害はこれまでの78棟から210棟(9日正午時点)に増えた。内訳は住家が102棟、それ以外が108棟。住家は全壊が76棟、大規模半壊などが26棟となる。公共施設への被害はなかった。市職員が現場で外観を調査して判明した。
水質の安全を確認する検査が続くため、三陸町綾里や赤崎町の一部で断水が続く見込みとなっている。
渕上清市長は記者会見で「今後は被災者支援に注力し、鎮火に向けて警戒態勢を継続する。防災関係機関のみなさまに重ねて感謝申し上げる」と述べ、市幹部らと頭を下げた。
市は災害対策本部を継続する見込み。県外からの緊急消防援助隊は引き続き、巡回での警戒や消火活動にあたる。
建物が被災した人に対し、生活や住宅の再建に必要な罹災(りさい)証明書を交付する。14日午前8時半から市役所や、綾里地域振興出張所で受け付ける。
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