1964年以降で最大となる約3370ヘクタールの山林に延焼した岩手県大船渡市の山林火災で、広大な森林が焼失したため数十カ所で土砂崩れの危険があることが、県の調査でわかった。災害が激甚化し対応が求められる中、堰堤(えんてい)やダムの設置などを急ぐ。
県は18日、山林火災対策として約35億円の補正予算案を議会に示した。砂防堰堤の設置費に16億5千万円、治山ダムに4億円を盛り込んだ。
森林には土砂災害を防ぐ保水機能があるとされ、近年最大規模の山林火災でその保水機能が打撃を受けた。砂防堰堤は河川に設置され、上流から流れ出る土砂を防ぐ。治山ダムは渓流に設置され土砂や倒木の流出を防ぐ効果があるという。
県によると、土砂災害警戒区域等に指定している地域で、周辺の焼損が激しく、下流に市避難所などの施設や民家、道路がある場所を設置場所に選んだ。それぞれ数カ所に設ける。
砂防堰堤、治山ダムともコンクリート製で、完成は早くても来年度以降の見通し。通常は設置まで数年かかるといい、その間は被害の可能性がある数十カ所に大型土囊(どのう)を積み、土砂崩れに備える。
森林の復旧には長い時間がかかる。達増拓也知事は18日の会見で、「リスクがある所の危険を解消する。(比較的)すぐできる方法として、砂防堰堤、治山ダムがある。まずそれをやるという考え方だ」と述べた。
また、被災中小企業の建物や設備復旧の経費補助として9800万円を計上。補助上限は3千万円・補助率は4分の3で、水産加工業など10社程度を想定する。災害援護資金の財源となる経費3500万円なども盛り込んだ。