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米大リーグ機構(MLB)、ロサンゼルス・ドジャースとのパートナーシップ契約を発表した伊藤園の会見には、ドジャースのムーキー・ベッツ選手(右)も登場。本庄周介副社長(左)、大谷翔平選手の等身大パネルと並んで「お~いお茶」をPRした=2025年1月21日、東京都港区、新田哲史撮影
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 「いつの日も、僕のそばにはお茶がある」

 米大リーグの大谷翔平選手をCMに起用して話題を集める伊藤園の商品「お~いお茶」。商品の原料として使われているのは、九州などの茶葉だ。近年、その産地に熱い視線が注がれている。

 今年2月、農林水産省が発表した数字が茶業関係者に衝撃を与えた。製茶前の原料を指す「荒茶」の生産量について、鹿児島県が〝お茶王国〟静岡県を抜いて全国トップに躍り出たからだ。1959年の統計開始以来、初めてのことだった。

 この要因が、ペットボトル飲料に使われる二番茶以降の生産量。鹿児島は品質が高い一番茶の生産量は8450トンで、静岡の1万トンを下回ったものの、二番茶以降で巻き返した。

 伊藤園によると、「お~いお茶」には鹿児島をはじめとする九州各県と静岡、三重で栽培された茶葉をブレンドしている。全国どこで飲んでも商品が均一であることが求められるため、高品質の茶葉を安定的に調達できる茶産地を選んでいるという。

 特に九州産のお茶については、「茶の栽培に適した気候と土壌を持ち、長年にわたりノウハウを蓄積している」と評価する。さらに同社は、大分、宮崎、鹿児島、佐賀、長崎の各県の荒廃農地などを茶園に造成して専用の茶葉を生産。「八女茶」や「知覧茶」のリーフ製品も販売している。

 今年3月に発売した「お~いお茶」の新商品は、大谷選手のPR効果もあり、発売わずか1週間で1千万本を突破した。大谷選手自身も国内にいた時やアメリカでも九州産などの茶葉がブレンドされた商品を好んで飲んでいたという。

 今後の展開について、同社広報課の担当者は「現在46カ国・地域まで広がっている販売国を、2040年ごろに100カ国・地域以上へと広げていきたい」と話している。

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