(25日、春季近畿地区高校野球大会 東洋大姫路9―2大阪桐蔭)
大阪桐蔭の選手たちが、うつむきながら整列へと走った。春の大阪王者が、公式戦では2013年9月の秋季府大会以来のコールド負けを喫した。
「(近畿は)当然、レベルが高いチームで出る。でも、そこに勝てないと、大阪でも甲子園でも勝てない」。監督として歴代最多、甲子園70勝の西谷浩一監督はそう語った。
東洋大姫路は昨秋の近畿王者でもあり、今春の選抜大会にも出て、県大会も制した。いま関西で指折りの勢いがあるチームだ。
大阪桐蔭と東洋大姫路の好カードが組まれたこともあってか、この日は雨にもかかわらず、球場外に長い観客の列ができていた。
そんな注目の一戦は、一方的な展開となった。一回1死一塁で、大阪桐蔭の先発、エース中野大虎(3年)が東洋大姫路の3番高畑知季(3年)から左越え2ランを浴びる。三回にも1点を失った。
四回に宮本楽久(3年)の適時打などで反撃したが、東洋大姫路の打線は止まらない。6回6失点と打たれた中野は「東洋大姫路のスイングが想像以上だった」。七回から救援した最速150キロ超の森陽樹(3年)も失点を続け、八回で7点差をつけられてしまった。
森は1回3分の1を投げて3失点。プロ注目右腕として名前が挙がるが、「相手の打線が自分を全然上回っていた。力不足です」と落胆し、「夏に向けて時間がない。やるしかない」と焦りを募らせた。
東洋大姫路の岡田龍生監督にとっては、履正社で監督だった13年以来となる大阪桐蔭相手のコールド勝ちだ。
3年前に母校に就任した岡田監督は「東洋大姫路は野球を頑張り始めたんやなと思ってもらえる」と笑った。だが、こちらも喜ぶ様子はほとんどなかった。
試合後に言及したのは、一回にバントミスで捕邪飛に終わった場面と、四回にスリーバントを決めたシーンだ。
「きちんと野球を進める、というのが僕の基本的な考え。それをいきなりバントフライ。スリーバントも結果オーライです。まだ甘い」と指摘する。
さらに、「このままでいいと勘違いするのが一番怖い。今の練習に全然満足していない」とし、「勘違いしたら(夏の)兵庫の1回戦で、ぽんとやられる」と語った。
勝敗は異なったが、ともに気持ちを引き締め直す一戦となった。