「熊本市にも洪水警報」
8月11日の午前2時前。大雨の取材に没頭していた私は、テレビのニュースから流れた音声にはっとした。
熊本市のマンションの自宅から廊下に出て下を見る。向かいのラーメン屋は既に水につかっていた。路面は水でもう見えない。
これ、まずいんじゃないの――。
写真撮影をしつつ、駐車場を見た。立体駐車場の地上部にあったマイカーは、車高の半分、80センチほど水没していた。
4時間前、会社からの帰路の道は浸水していなかった。会社と自宅は歩いて10分ほど。会社は周囲より高く、一瞬、車は置いておいた方が安全との思考がよぎった。後で思えば、これは勘だったのだろう。しかし、雨脚が強く、歩いてずぶぬれになる自分を想像して、車で帰った。
気象庁によると、熊本市の1時間雨量は、10日午後9時台が0ミリ、午後10時台が4.5ミリだったが、午後11時台以降、84.5ミリ、78ミリ、60.5ミリと豪雨が続く。
自宅での私は大雨の取材を続けていた。テレビやインターネット、SNSなどで災害情報を探し、熊本市ではない別の自治体の被害を気にしていた。
11日午前1時ごろには、自宅の隣を流れる川が氾濫(はんらん)危険水位にあるとテレビが流した。SNSでは越水情報も見た。しかし熊本市に聞くと、市内は冠水していない、とのことだった。
テレビの音声などに集中していたため、雨音や外の音は聞いていなかった。
自宅周辺の浸水は、川の越水…