本を読み、感想を語り合う「読書会」が、刑務所などの刑事施設で広がっている。服役中の受刑者らが本を通じて、自らの生き方を振り返る機会になっている。
10月末、立川拘置所(東京都立川市)の一室で、30~60代の男性受刑者7人が車座になっていた。手にはこの日の課題本「希望の一滴」。アフガニスタンで人道支援に尽力した故・中村哲さんの寄稿をまとめた本だ。
「干からびた砂漠があっというまに緑になってすごい」
「懲役から出て外がこんな変わってたら、驚くなあ」
参加者らは時に冗談も挟み、感想を思い思いに口にする。進行役は刑務所での取材経験が豊富なジャーナリストの大塚敦子さんと、自ら30年以上読書会を続けてきた翻訳家の向井和美さん。話題は中村さんの功績から同国の女性の地位にまで及んだ。
「お金があればなんでもできると思っていたけど」
「たくさんの人の役に立っている中村さんはものすごくかっこいい。自分もこの後、何か人の役に立てたりするんだろうか」
大麻取締法違反の罪で懲役3…