北京の天安門広場を埋め尽くした市民や学生のデモ隊=1987年5月、朝日教之撮影
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 1989年に中国で民主化運動が武力弾圧された天安門事件から4日で35年を迎えました。事件は、中国の社会と政治にどのような変化をもたらしたのでしょうか。現代中国政治に詳しい高原明生・東京女子大学特別客員教授に聞きました。

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 ――事件で中国社会はどう変わりましたか。

 80年代は、中国の人々の間に経済だけではなく政治でも改革が進むだろうという希望がありました。指導部の中にも、政治改革をしようとする人が多くいたからです。

 87年の第13回共産党大会では、当時総書記だった趙紫陽氏が、国有企業や労働組合など多元化する利益集団などの要望を共産党の政策に反映させることを狙った「協議対話制」の実現を目指したり、労働組合などの自主性を強化したりする方針を掲げたのにも象徴されます。

 しかし、趙氏の改革が急進的すぎるとの意見もあり、党の指導部が割れました。

 学生らの民主化運動に対し、穏便な対応を主張した趙氏は失脚。鄧小平氏らが武力弾圧に踏み切ると、人々の政治改革への期待は一気にしぼみました。

焦点を愛国主義教育へ

 ――共産党による統治は事件後にどう変わりましたか。

 指導部は、民主化運動は、自…

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